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長ったらしい校長先生の話を黙って聞きながら俺は考え事をする。
この街で暮らせと言ったのは親戚の人。俺の記憶が戻るのを期待しての事だった。
けど、俺はどうでもいい。記憶喪失って事は嫌なことがあったから記憶喪失になったんだろ?なら思い出したくもない。
「やっと終わった」
入学式が終わり教室に向かう。
「な、なあ來?」
「何ですか?」
「記憶喪失って本当なのか?」
「お前、俺が嘘ついてるとでも思ってんのか?」
「え、や…ごめん」
はっきりしろよ。あー、ムカつく。
「じゃあさ、改めて俺と友達にならない?」
「まーいいけど」
面倒だから適当に返事をする。何をそんなに嬉しいのか俺には分からない。
「つーか、変わったよな來」
「何が?」
一応、友達になったからタメで話す。
「前はさ、明るくてムードメーカーな來が無表情な奴に変わった」
「何言ってんの?俺は元々無表情だ。明るくてムードメーカー?誰かと間違えてるだろ」
俺は無表情。明るくてムードメーカーとか誰だよ、そいつ。
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