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あの女は予告通り教室に居た。
まるで、俺が来るのがドアを透かして見えていたかのような、全部知っていたかのような、そんな悠然さを漂わせていた。
「あらあら、誰かと思えば誰ですか?」
「ふざけるな、あんたが呼んだんだろうが」
俺はそんな女の余裕さに若干気圧されながらも、威勢をはる。
「ああ、昨日の方ですか。
そんな格好をしているから、私の知り合いかと思いました。
よく似ていますよ。
死んだあなたのお兄さんに」
女の悪意を含んだ笑みに、俺はいらだちと、恐れを抱いた。抱かされた。
「俺に何をさせるつもりだ。お前の目的はなんだ」
「昨日伝えた通りですよ。
それではいきましょうか。
あなたのお兄さんの死の真相、知りたいですよね?」
女は最大級の嫌な笑みを見せながら言った。
俺はただ誘われるように、女のあとについて、静寂な教室をあとにした。
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