111人が本棚に入れています
本棚に追加
「今はそんなことを言ってる場合じゃない! 一体何があったんだ。ハイタカ!」
名前を呼ばれたハイタカは、驚きに体を震わせた。
「何があった!!」
「お、俺は……そんなつもりじゃ……」
ハイタカは震えの止まらない掌中に額を埋めた。
おそらくハヤブサは、ハイタカのその様子から何が起こったのか察したのだと思われる。確認を促す視線がアサ子に注がれると、アサ子はたじたじ口を開いた。
「彼がナイフで黒川さんを……」
ハヤブサは、やはり、と言わんばかりの顔で頷くと、再度「ハイタカ」と厳しい声を発した。
ハイタカは緊張した面持ちで「はい」と覚悟を決めたような声を出した。
「お前の処罰は後回しだ。セーフティーゾーンに戻り、4番10番をヘリまで運ぶと伝えろ。失格隊員は直ちに帰還だ」
最初のコメントを投稿しよう!