第16話

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「今はそんなことを言ってる場合じゃない! 一体何があったんだ。ハイタカ!」 名前を呼ばれたハイタカは、驚きに体を震わせた。 「何があった!!」 「お、俺は……そんなつもりじゃ……」 ハイタカは震えの止まらない掌中に額を埋めた。 おそらくハヤブサは、ハイタカのその様子から何が起こったのか察したのだと思われる。確認を促す視線がアサ子に注がれると、アサ子はたじたじ口を開いた。 「彼がナイフで黒川さんを……」 ハヤブサは、やはり、と言わんばかりの顔で頷くと、再度「ハイタカ」と厳しい声を発した。 ハイタカは緊張した面持ちで「はい」と覚悟を決めたような声を出した。 「お前の処罰は後回しだ。セーフティーゾーンに戻り、4番10番をヘリまで運ぶと伝えろ。失格隊員は直ちに帰還だ」
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