道標

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そのメールが初めて届いたのは、センター試験を控えた前夜だった。 受験票に、いつも使っている筆記用具、念のための胃薬とホッカイロ。明日の準備を終え、今日はしっかりと睡眠を取ろうと、ベッドに潜り込んだ時だった。 アラーム代わりに、枕元に置いてあった携帯電話の着信音が、短く鳴った。メールの受信音だった。 友達からのメールかな?と最初は思った。夕飯の後やお風呂に入る前、苦手科目の最終チェックをしている時も、「明日頑張ろうね」とか、「終わったら、カラオケ行こう」とか、仲のいいクラスメイトとメールのやりとりをしていたからだ。 受信BOXを開くと同時に、眉間に皺を寄せた。 何だろう?このメール……明らかに奇妙な点が2つ。 1つ目は、メールの差出人の名前が、「佐久間祐未(さくまゆみ)」と私の名前になっていた。 同姓同名の誰か?まさか。同じ名前の知り合いはいないし、そんなにありふれた名前でもないだろう。 ということは、私から私へ?そんなことって出来るの? 送信履歴を確認しても、私が自分の携帯にメールを送った形跡はない。 だとしたら、誰が?
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