道標

おそるおそる受信したメールを再び開く。

2つ目の奇妙な点。メールを受信した時間が、なぜか2015/12/01 10:01になっている。

私は勉強机にある卓上カレンダーを振り返った。今年は2005年で、明日のセンター試験の日を赤丸で囲ってあるから、今日は1月14日になる。

今の時間は……携帯の画面の右上を確認する。23:09と示していた。2015年は10年先の未来になる。

キーを押しながら、下に続くメールを読む。

『××ドオリ　スリップ　ジュウタイ』

一文が添えられているだけだった。カーテンを開き、窓の外を確認する。いつの間にか雪が降ってきたようだ。暗闇の奥に深々と舞い落ちる雪が、確認出来た。

何これ？誰かのイタズラ？それにしては、手が込んでいるように思えるけど……。

ダメだ！

余計なモノに気を取られると、折角覚えた英単語が吹き飛んでしまう。私はさっとカーテンを閉めた。

今見たメールは全て夢だった。勉強の日々で、少し疲れた私の頭が見せた幻影なのだと思うことにし、折り畳み式の携帯電話を閉じた。