日傘の友人

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日傘の友人

 男なのに、年柄年中日傘を差している友達がいる。  紫外線に物凄く弱い体質だとかで、直射日光は天敵らしい。  最初に日傘を使っているのを見た時は、俺も含め、誰もが『そこまでする必要があるのか?』と思ったが、日焼け止めを塗っているにもかかわらず、日差しを浴びた肌が火傷レベルに赤く爛れたのを見てからは、『大変だな』と『気をつけろよ』がそいつに向ける言葉になった。  ちなみに本人は、そういう体質だから日差しには凄く気を遣っているけれど、出歩くことは好きらしく、ちょっとそこまで遊びに行こうとかはよく言われる。  今日もそんな誘いに応じ、二人で出かけた。その時だった。 「あ。ヤベ」  友達の声に相手を見ると、何かに引っかけたらしく、傘の一部が裂けていた。たいしたことはなさそうだが、なにしろ、ちよっとの日光で火傷状態になる奴だ。本人も自分の体質を知り尽くしているから、その場で立ち往生してしまう。  さて、どうしようと思った時、近くのコンビニが視界に入った。友達を待たせて店に行き、ビニールテープを買って戻って来る。  こいつで破れた箇所を貼り合わせれば、とりあえずの応急処置は完了だ。 「サンキュ。助かった」 「いいよ、このくらい。…あ、中からも補強しておいた方がいいよな?」  傘の下に入り込み、内側からもビニールテープを貼ってやる。その時に、厚手の傘越しにうっすらと太陽が見えた。 「??!!」  傘越しに見えた、それは巨大な目玉だった。  俺が見えているのか、食い入るようにこちらを見ている。  慌てて傘を飛び出し、空を見上げたが、そこには普通に太陽が輝いているだけだ。  隣を見ると、ばつが悪そうな友達がこっちを見ている。ごまかせないと思ったのか、おずおずと口を開く。
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