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「貴方に罪はありません。ですが、貴方が生きているとこの世界が無くなってしまうんです。」
彼女の言い分は理解のし辛いものだった。
「とりあえず、僕はどうすれば?」
銃の様にも見えるモノを構えられながらも、有りもしない希望を託して訊いてみる。しかし、やはり彼女は希望を打ち砕いた。
「私は貴方を殺す為、未来から来ました。貴方を殺さなければ、私は帰れません。未来の為にとは言いません。今、目の前にいる私の為に。死んでください。」
彼女の自分勝手な言葉。しかし、こんな事を言っても、武器を使っては来ない。
「死ぬ前に最期の願いを聞いてくれますか?」
苦し紛れに言ってみた。
「何ですか?」
聞いてくれるみたいだ。一か八か、賭けるしか無いか。
「僕が死ぬ気になるまで、こっちの世界で一緒に生きてみませんか?」
彼女の手から、武器が落ちた。
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