勇者と

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(どうしよう。このままじゃネヴリナさんが死んじゃうよ…。 私があの時飛びさなかったら絶対にこんな事になってなかった…。 ……違う、違う! 今は後悔なんてしてる場合じゃない! ネヴリナさんを助けないとダメだってわかってるけど、私にはあの人を助けることができない) 「マキイィィィ!! 足を前に動かせェェ! ここから逃げるんだァ! お前だけでも生きろ!生きて、生きて、精一杯生き続けろ!」 自分は助からないという前提で、わざと凄みマキに逃げるよう促す。 しかしこの言い回しをマキにしたのは失敗だった。 「絶対…絶対に逃げるもんか!!!! 私は守られるだけの弱い女の子じゃない!!」 そう自分を奮い立たせると、あろう事かミツルの足元目掛けてタックルを敢行したのだ。 「マキ!?」 「なッ!?」 踏み込む右足にしがみつかれ、前後左右に振られ全体重を掛けることが難しくなる。 「邪魔…なんだよ!」 自由な左足で絡みつく鬱陶しいモノを蹴り飛ばす。 戦闘靴や革靴によく見られる、硬質な先端が鳩尾に刺さるように入ったため、文字通り体をくの字にして飛ばされる。 「………ッハァハァァ…」 飛ばされる時は肺から出せるだけの空気を吐き出し、地べたを這っている時は息を吸っているつもりでも吸えていない、いわゆる呼吸困難にしばしの間陥っていた。 「君たち二人は本当に僕をイライラさせてくれるねェ!! けどこれで本当にさよならだ!!」 力任せに押していた剣を引く。 突然支える対象を失ったネヴリナは、バランスを崩し未だ地面にうずくまるマキの側に倒れ込む。 この二人まとめて始末できる、絶好の好機を逃すわけもなく無情にも光の剣が振り下ろされる。 迫り来る光の剣を目の前に、絶対に叶うことのない願いに縋る。 (ネヴリナさんだけでもいい!! 誰か……。 誰か、助けて!!!!)
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