初デート    〈June〉

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結局、三浦君も水族館が好きだということで。 水族館にきた。   館内でも、とにかく人目をひく三浦君だけど。 魚や、ペンギンや、イルカを見る三浦君は、無邪気で。 三浦君の違った一面を見ることができた。 ………時間はあっという間に過ぎて、夕方になった。 「楽しかったですね!」  帰り道。 並んで歩きながら言った。 「楽しかったけど……。  こんなにデートらしくないデートはじめて。」 え……。 それって…。 楽しくなかったんじゃないのかなぁ。 急に不安になって立ち止まった。 「あの…。  ごめんなさい。」 せっかく誘ってくれて。 何のメリットもないわたしと1日過ごしてくれたのに。 迷惑かけただけで、楽しくもなかったなんて。 本当に申し訳ない。 「はあ?何言ってんの?」 三浦君は、面倒くさそうに言った。 「今までは、ベタベタしたり、キスしたり。  純粋に魚とかを楽しむことなんてなかったけど。  そういうの、一切なく、楽しめたってこと。」 本当、あんたって、バカだよね。 三浦君は、クスッと笑った。 その時の三浦君に…。 ドキッとして…。 わたしとの今日のデートを楽しかったと言ってくれて…。 ただ、嬉しくて…。 「三浦君、ありがとう。」 飾らないままに笑ったんだ。
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