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僕の家は両親の喧嘩が絶えず、
気が付いたら僕はその間で
曖昧に笑っているようになっていた。
僕が大学に入学すると、
もう義務は果たしたとばかり両親は離婚。
その際、どちらとも僕を引き取りたがらず、
まあ、実家よりかなり遠くの大学なので
元々ひとり暮らしの予定ではあったけれど、
放り出される形になった。
普通なら両親に捨てられたと悲観するとか、
年が年だけに独り立ちして立派にやっていこうとか
思うところだろうけれど。
僕は曖昧に笑っていることしかできなくて。
ああ、その頃にはもう、
世界は曖昧で平凡で、
退屈するようなものに成り果てていたのだ。
そのうち、大学に行くことすら面倒になり、
ひきこもるようになった。
カーテンを引いて日光を遮断した、薄暗い部屋の中、
布団をあたまからかぶってただ座ってる。
呼吸をして無駄に酸素を消費し、
腹が減れば買い込んでおいた
カップラーメンや栄養補助食品で空腹を誤魔化した。
死ぬことを考えなかったかと云えば嘘になる。
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