第4章~立ちはだかる妖魔の無双の者~

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移香斎が弾き飛ばされ地面を転げた。 その光景を目の当たりした、両軍の将兵たちには衝撃である、それは明らかにこれまでとは違うと、感じさせられる感覚があったためであるからで、地面を転がり倒れている移香斎がすぐに立ち上がらず、ピクリとも動かないからであった。 慌てた島津軍の前衛部隊の陣大将である、稲富新介と山田有信は、倒れたままの移香斎のもとにかけより、そして新介が移香斎に声をかける。 「移香斎殿…」 「…んん」 新介の声に移香斎は反応したが、反応しただけで動けそうにない、そのため新介は配下の将兵たち数名を呼び、移香斎を連れて後方へ下がる様に命じると、新介は有信と話す。 「有信殿。どうやら不味い状況となった様じゃな」 と言う新介に対して有信は頷き。 「無双の移香斎殿がやられたのだ我ら方の将兵に与える衝撃は計り知れぬからな」 そう有信は応じていた。 一方の尼子軍の先陣八極拳部隊の将兵たちからは、歓声が上がったのは言うまでもなく、八極拳部隊を率いる満延、信繁、喜内らは顔を見合わせ表情を明るくし、そして満延が口を開く。 「儂と源右衛門殿の2人がかりでもどうにもならなかった相手を一撃で倒すとは…。鳳凰神の化身の力と鳳凰の槍の威力は…まさに天下無双と申してもおかしな事ではない」 そう満延が感服したと言わんばかりで、そんな満延の言葉に信繁と喜内も納得した表情を浮かべて、そして信繁が口を開き。 「このまま一気にたたみかけましょう」 と、そう信繁が総攻撃を促すと。 「そうじゃな。この機を逃す事はないな」 と、満延が応じて、そして喜内が。 「後方の正幸殿らにも伝えましょう」 そう言うと、満延と信繁は頷き、そして信繁が配下の者に声をかけ、後続する花房・竹中・長曽我部の各部隊へと伝令を駆けさせた。 そして満延、信繁、喜内は率いる八極拳部隊の将兵たちの方を振り返り、満延が代表して。 「今が攻め時であるッ!一気に島津方の前衛部隊を切り崩しッ!島津軍の本陣へ雪崩れ込むぞッ!」 そう、満延は声を張り上げ、突撃を下知し、この満延の下知に、八極拳部隊の将兵たちは。 「おおッ!!!」 と、応じて、そして尼子軍の先陣八極拳部隊6000が、島津軍の前衛部隊へと突撃を開始した。
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