第4章~立ちはだかる妖魔の無双の者~

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剛志が、利成と輝政の枕元の間に腰を下ろすと、利成は右腕の骨折であったため、寝床から起き上がり平伏し、輝政はあばら骨の骨折と左足の骨折、しかも内蔵の一部にも傷を負った様で、意識はあるが起き上がる事は不可能で、視線だけを剛志へ向けていた。 そんな利成と輝政を交互に見た剛志は、表情を曇らせて、何と言っていいか言葉を探しながら、口を開き。 「2人には…辛い思いと苦労をさせた。特に輝政よお主は重傷を負わせた…。責任を俺は感じている…」 と、剛志は言葉を詰まらせ言った。 特に輝政の重傷さに剛志は、言葉を失い、剛志だけでなく、義光や忠次、正幸、治右衛門らが表情を暗くしていて、そして利成と輝政とは、面識のない真哉と麻紀までが、釣られる様に表情を暗くし、その場は重い空気に支配されていた。 そんな中、利成と輝政が養生する部屋に、聞き覚えのある声が響き渡る。 『そう暗くなるな。剛志と皆よ』 この声に、その場にいた者たちが、すぐに誰の声かわかり、そして剛志が皆を代表して声の主へと話しかける。 「暗くなるなとはどいう事でしょうか鳳凰神様?」 そう声の主は、鳳凰神・宇喜多直家で剛志の問いかけに、鳳凰神・宇喜多直家が言う。 『剛志よ。以前お主に手渡した龍神の水晶は持っておるか?』 「ええ」 鳳凰神・宇喜多直家の問いかけに、剛志は応じて、腰に吊るしている巾着袋の中から、龍神の水晶を取り出し、そんな中、鳳凰神・宇喜多直家が言う。 『その龍神の水晶を輝政の体の上に乗せよ』 剛志は、鳳凰神・宇喜多直家の言われた通り、輝政の体の上に龍神の水晶を乗せた。 すると、龍神の水晶が眩い光を放ち、輝政を包み込み、暫く輝政は、その眩い光に包まれ、そして、その眩い光は消え失せた。 光の眩さに、その場にいた者たちが目がくらみ、暫く目を開けられ図にいたが、ようやく目をまともに開けられる様になってから輝政の方を、その場にいた者たちが見た。 すると、先程まで生気を失いかけていた輝政がムクリと、起き上がり生気も甦り、体の痛みを感じないで、不思議に思う輝政は、自らの手や足やあばら骨の辺りをさすっていて、その様子に剛志たちは驚いていた。
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