第4章~立ちはだかる妖魔の無双の者~

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その愛洲移香斎であるが、星上山に陣を張る、島津軍本陣の陣幕の外で、塚原卜伝と上泉伊勢守に、妖魔鬼神から預かった妖魔鬼神の太刀を2人に手渡した後、移香斎はまだ成長期にあり、底知れぬ力を秘めた鳳凰神の化身の1人、真哉と闘った時の事を話していた。 「なるほど…」 移香斎から、鳳凰神の化身の1人について、話しを聞いた卜伝と伊勢守は、鳳凰神の化身の1人は、鳳凰の槍の使い手で、武術を操り、若いがその腕前はなかなかのものであり、更なる腕前の延びしろがある事を聞いた唸り、そして容易に倒せる相手ではない事を確信した。 「移香斎殿ほどの偉丈夫がやられたのだ気を引き締めてかからねばのう」 と、卜伝が言うと、伊勢守も卜伝に同意して頷いていた。 そんな卜伝と伊勢守に対して、移香斎が決意を新にして。 「奴は拙者が倒す。やられたままでは気がすまぬ故のう。2人には悪いが拙者が再び倒されるまで奴と立ち合えぬと心得ておいてくれ」 そう移香斎が言うと、卜伝と伊勢守は顔を見合わせてから。 「仕方がないのう伊勢守殿」 「そうじゃな鳳凰神の化身の1人は移香斎殿にお任せするといたすかのう」 と、卜伝と伊勢守は言い、これに移香斎は。 「忝ない。2人には申し訳ないがそうさせてもらう」 そう言い、次こそは真哉を倒す決意を、移香斎はしていた。 一方、島津家久は総大将の島津義弘と面会していた。 「申し訳ありませぬッ。尼子の援軍を易々と安来に上陸させてしまった上に月山富田城へ入城させてしまいましたッ。弁解の余地もありませぬッ」 と、家久は地べたに額を擦り付ける様に平伏していた。 そんな家久を見据え義弘は。 「よい。初戦の勝利が良すぎた。あれでは儂が指揮していたとて同じ事。問題なのはこれからよ。聞けば新たな化身である鳳凰神の化身が援軍の尼子軍には存在しているそうだな。しかもその鳳凰神の化身は移香斎殿を倒したと聞く。その様な偉丈夫がいたのでは我らにとっては脅威よな」 そう言い腕組みをして、危機感を募らせる表情をし、そんな義弘に家久が。 「移香斎殿を信用しきってしまった事が今回の敗戦に繋がったと申しても過言ではないでしょう。卜伝殿と伊勢守殿も同様。余りあの3人に頼りきる事なく戦略を練るべきと某は考えます」 そう言った。
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