第4章~立ちはだかる妖魔の無双の者~

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満延率いる延沢隊2000が飯梨川へと突入、対岸の島津軍を目指して、前進した、その様子はすぐに源右衛門の目に飛び込んで来て。 「あの愚か者の豬武者めッ!島津軍が動かないのは我らを誘い出す事にあると何故に気付かぬのかッ!」 と、源右衛門は吐き捨てながらも。 「捨て置く訳にもいくまいッ。ちッ」 と、舌打ちした源右衛門は。 「我らも前進だッ!ただしッ!満延殿以下延沢隊の将兵を連れ戻し被害を最小限とした戦いをいたすッ!よって無理な攻めはせぬッ!島津軍からの攻撃を受け流しつつ儂は満延殿を説得して後退させたならばッ!皆も後退じゃッ!これは厳命であるッ!」 と、源右衛門は率いる将兵たちに厳命して更に。 「お主は正幸殿のもとへ急げッ。正幸殿も現状を見て判断し動いていると思うがッ。血気に逸る満延殿が島津軍へ攻めかかってしまったッ。某も飯梨川を渡り満延殿を説得いたして被害を最小限にして後退するとッ。そう正幸殿に伝えよッ」 そう源右衛門は、配下の者を1人を捕まえて、正幸のもとへ伝令として駆けさせると、率いる部隊の将兵たちを前進させ、渡部隊も飯梨川へと入っていった。 一方、尼子方が飯梨川に入りのを見た家久は。 「出て来たぞ。狙い通りだな。後は移香斎が上手く尼子方の先鋒を如何に蹴散らすかだか…」 そうニヤリとしながら呟くと更に。 「有信と新介に伝令をだせ。飯梨川東岸に布陣した尼子方2部隊とも飯梨川を渡河して来ている故に移香斎の援護をする様にとな」 と、家久は従軍して来ている、山田有信と稲富新介のもとへ伝令を駆けさせた。 一方、源右衛門の伝令を受けた正幸は。 「やはりそうであったか…。冷静な源右衛門殿が島津軍が動かない理由が何であるか思い付かぬ訳がないからな。既に安来にて陣取りする陣大将の忠次殿。それと海上で待つ剛志様。両方に伝令は出して後詰めを求めたからと源右衛門殿のもとへ戻って伝えよ」 そう言って正幸は、源右衛門からの伝令の者を、源右衛門のもとへと戻らせ、そして正幸は飯梨川を渡る、渡部・延沢両八極拳部隊を見据え。 「満延の愚か者めッ。何故に待てぬのかッ。それほどに己が力が天下一だと示したいのかッ」 と、正幸は吐き捨てていた。
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