第4章~立ちはだかる妖魔の無双の者~

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ワワワワワワッ!!!! 尼子方の満延率いる、延沢隊2000が喊声をあげて、飯梨川を渡河していく。 そんな中、延沢隊の前に立ちはだかる者が、島津軍の先陣部隊から1人だけ進み出て、馬から下馬すると、腰の太刀を抜き飯梨川東岸の岸辺仁王立ちしていた。 「なんじゃい奴はッ?」 と、延沢隊の先頭を行く満延が、怪訝な表情を浮かべ言い、そして満延はニヤリと笑みを浮かると。 「もしや奴が噂の無双の者の3人の内の1人か…フフッ。これは願ってもない好機。奴を儂が討ち取れば。儂の腕前は天下一である事の証となろうッ」 と、満延は鼻息を荒くすると更に。 「彼奴は儂がやるッ。他の者は儂の援護をいたし彼奴の後方にて迎撃態勢を取る島津の先陣部隊をやれッ」 そう下知した満延は、自らが乗る馬に鞭打ち、馬の速度更に速めたのである。 そして、満延は飯梨川東岸の岸辺に仁王立ちする、1人の武者の前まで来ると、馬から飛び降りて、その武者を見据えて。 「お主は何者か?」 と、満延は問いかけ、この満の問いかけに、その仁王立ちする武者は。 「人の名を問うならば先ずはお主から名乗ったらどうだ」 と、満延へと言い返し、これに満延はニヤリとしてから。 「これは失礼した。儂は尼子最強の八極拳衆の将にて八極拳衆の将随一と自負する延沢満延だ。お主は噂に聞く無双の者か?」 と、満延は自らの名を名乗った後、その仁王立ちする武者に再び問いかけた。 すると、仁王立ちする武者はニヤリと笑みを浮かべ。 「お主は鼻息が荒いのう」 そう仁王立ちする武者は、満延を小馬鹿にした様に言い、これに満延は憤慨して。 「お主が先に名を名乗れと申したから名乗ったのにッ!貴様ッ!人を小馬鹿にしおってッ!」 そう言い放った満延は、手にする槍を仁王立ちする武者へと突き出したのである。 この満延の鋭く突き出された槍を、仁王立ちする武者は、難なくかわし、かわされた満延は勢い余ってよろけていた。 そんな満延を見て、仁王立ちする武者は。 「フハハハハハッ!」 と、大笑いした後。 「お主がその程度の腕前で八極拳衆随一ならば八極拳衆などやはり儂の敵ではないな」 そう言ってから更に。 「延沢満延と申したか…お主が名乗ったのだから儂の名を教えてやろう。儂は愛洲移香斎影流・陰流の始祖と申せばわかるかのう」 そう続けたのである。
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