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放課後。
校内にチャイムの音が鳴り響く。
教室で本を読んでいた私は、そろそろ帰り支度をしようと立ち上がった。
もう、部活終わったかな……?
「あれ、何だよ大原。まだ残ってたのか?」
「あっ……瀬戸くん」
「早く帰らねーと、正門閉められるぞ」
「う、うん。もう帰るよ……」
私が1人で教室に残っていたのは、瀬戸くんが部活を終えるのを待っていたからだよ。
「あー、腹減ったー」
「今日もお疲れ様だね」
そう。
こんなふうに簡単なやりとりだけでいい。
瀬戸くんと、ほんの少し言葉を交わすだけで、私の心は満たされてゆく。
「……ほら、早くしろよ」
「えっ」
「暗くなってくるとあぶねーから、駅まで送る」
「で、でも……瀬戸くんって、私と反対方向に帰るよね?」
「いいから。さっさと行くぞ」
「あ……ま、待って!」
予想もしていなかった展開に、胸が、きゅっとしめつけられた。
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