89人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺は構わないよ」
戻って来たキミは、私が座り込んでいたベッドに片膝を載せた。
「それだけ俺のこと好きってことだろ?」
臆面もなく言うキミに、驚いて涙も止まる。
いつもはそんなことを軽々と口にはしないから。
「……そうなのかな」
「そこは、うんって言っておけよ」
カラッと笑ったキミの顔。
その表情はずっと好きだった。
きっと、初めて会った時から、その優しそうな瞳に惹き付けられてきた。
「キミはあっさりしてるよね」
会える時間が短いから、会っている時はそれなりにベタベタもしてくれるけれど、基本的にキミは淡白だ。
連絡も、放っておけば一週間くらいしなくても平気そうだし、私が普段どんな風に一人の時間を過ごしているのか気にしない。
「……おかしいな。私、そっち側だったはずなんだけど」
これまでの彼氏との付き合いを思い返してみるまでもなく、こんなに感情が揺らされるのは初めてだ。
キミが何をしているのか知りたい。
何を考えながら、どんなことをして、どんな風に私のいない時間を過ごしているのか、こんなに気になるなんて思ってもみなかった。
最初のコメントを投稿しよう!