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キミがいる支社は小さくて、少ない人数で回している。 本社からやって来た、その支社で唯一の二十代の社員であるキミには、期待も任務も重たくて、最近はろくに電話も出来ていない。 残業と付き合いで、毎日遅くまで会社の人たちといるキミとの距離は、物理的にも心理的にもどんどん離れていってしまう気がした。 極めつけのように見せられたSNS。 キミと同じ支社に同期がいると言って、私の部署の先輩が見せてくれた写真には、私が知らない人たちに囲まれて笑うキミがいた。 隣には私より若くて可愛い女の子もいる。 分かってる。 支社には、若い女性社員はいなくてもアルバイトや派遣社員の人はいる。 支社の懇親会でブスっとした顔をする訳にはいかないし、別に私もキミにそんな顔にしていて欲しいとは思わない。 けれど、私の知らないキミがどんどん増えていく時の流れに、私はもう押し潰されそうになっていた。 「……私、面倒臭いでしょ?」 「いや、そんなことないけど」 「嘘ばっかり」 軽く笑ったキミは、ベッドの上を膝で歩いて近づき、私の前髪を掻き上げた。
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