89人が本棚に入れています
本棚に追加
「ってことはお前、今までの彼氏のこと、面倒臭いって思ってたの?」
そいつら可哀想との失笑に、体が固まる。
だって、当たらずも遠からずだから。
私なりに元彼のことを好きだったはずなのに、彼等との間にはいつも温度差があって、それを埋められないままに別れを迎えていた冷たい自分を、キミに知られてしまったような気がした。
「つまり、お前はそいつらのこと、そんなに好きじゃなかったってことだ」
「そんなこと……」
「ある。同じくらい好きなら、面倒とは思わねえよ」
きっぱりと言い切ったキミには悪いけれど、単なる性格の違いじゃないかと思う。
言い返すか迷って、涙を隠すようにずっと俯いていた顔を上げると、キミがこちらをじっと見ていた。
「だって、俺はめんどくなんてねえから」
止まっていたはずの涙が再開した。
キミは、付き合い始めた頃のように優しく私を見てくれていた。
私がどんなに笑っても泣いても受け入れてくれていたあの頃と同じように。
最初のコメントを投稿しよう!