エピソードⅠ

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空に浮かぶ大地のほんの外れにあるオーディンの小さな村、カンタレスタ。 ここは農業を生業に生活しているのが大半である。 「ソラーー!」 空にも負けない蒼髪をなびかせ、平行に見える雲を眺める少年。 そんな少年の名前を呼びながら詰め寄る黒髪の少女アイラはその少年ソラより四つ離れた年上であり、両親の居ないソラの保護者でもある。 「ソーラ!」 「姉ちゃん、、?」 意識が薄らいでいたソラは目を擦りながらアイラに視線を向ける。 蒼髪がふわりとなびき、大きな黒目がアイラの姿をとらえる。 ゆっくりと立ち上がったソラは近くの木に立て掛けてあった木刀を持ってベルトに通すとアイラの元へと歩く。 「どーしたー?」 若干面倒そうな表情でアイラに聞く。 アイラとソラが並ぶとまだ四つ離れ16の成長途中のソラは少しばかりアイラに身長が負けてい。 アイラもそんなには大きくないが、ソラはまだ156cmと小さい。 「えへへ、ソラお願いがあるんだー」 別にアイラとソラは姉てではないし、血も繋がっていない。 だが、アイラのこのニコニコした表情の意味はわかる。 もう何度もこの笑顔のお願いを死ぬ気の思いで聞いたか知らない。 「聞いても良いけど、一個条件付けるよ?」 ここは先に手を打とうとソラが考えるも、これもまたアイラもわかってしまう。 「だーめ!」 (ケチ、、、最後まで言ってねーし) 「それで、頼みってなに?」 文句を直接言うと後が怖いのでここは心の中だけで文句は飲み込もう。 「お隣のリチャードさんがね、なんでも収穫した野菜を隣街まで運びたいんだって!」 (今回は力仕事か、、、はぁ) 「おこ「よろしくね!」」 ソラがなにか言うよりも早くアイラは要件を言うだけで帰ってしまった。 いや、逃げたかのように早歩きで帰った。 「小遣いくらいくれよ!!!ケチババア!!」 ぐおー!と叫んだ直後にどこから飛んできたのかおたまがソラの脳天を揺らす。 「あがっ!!!!?」 (じ、地獄耳、、、) バタンと倒れる。
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