第1章

2/2
前へ
/2ページ
次へ
 君と僕。  2人きりで過ごす、日曜日の昼下がり。  いつもより甘く入れたカフェオレを飲んで。  ……ひと呼吸置いてから、僕はこう言った。 「結婚してくれないか」  加湿器の音だけが聞こえる室内。  ……沈黙を破るようにして、彼女が口を開く。 「あのね……ひとつだけ、約束してほしいことがあるの」 「何?」 「……1時間でも1秒でも、私より長く生きて」 「……」 「私が先に死ぬのを見届けてから死んでください。  どうか、私より先に死んだりしないで……」  子供の頃、父親を亡くした彼女は、今まで僕が想像もつかないくらいのさみしさと、向き合ってきたのだろう。  僕は君に誓う。  未来のことはどうなるか分からないけど。 「君よりも1日でも長く生きるよ。  だからこれからの人生をぜんぶ、僕にください」 「よろしくお願いします……」
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加