第1章 ~地の賢者~

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ゆらり、ゆらりと何かに導かれるかのように水路を進む不思議な小舟 2人とも話さない 小舟にも一本の外灯がつけれれていた どのくらいの時間が過ぎたか、闇の中では分からない 先の方に光り輝く扉が微かに見える 出口だろうか 「あれが出口かな?」 『(エトワール)』 頭の中で先ほどよりも強く聞こえる声 『(エトワール)』 扉の方向から聞こえる 「何かが私を呼んでいるのです」 何かに取り憑かれたかの様に沈黙し、ずっと動かなかった志穂が話し始めた 『(エトワール)』 「ほら、また呼ばれました。エトワールとは一体なんの事でしょうか」 小舟が岸に着岸した 「ひとまず、何かあったら俺が護る。いかなきゃいけない?」 「行かなくては・・・」 舟から岸まで八雲がエスコートし、志穂は船乗り場に足をつけた 光放つ金色の大きな扉。 エジプトの神殿のようなその佇まい。 志穂は扉の前に立った 扉は自動的にギィという音と共に開き、その奥には赤い絨毯が敷いてあった。 おずおずと入る2人 「このお城はどこの国のしろだろ?」 「わかりません。ただ、私を呼ぶような声がするのです」 『(見つけた。次代の地の賢者、こちらへ)』 「誰だっ!」 「ヤクモさん、どうしました?」 「今、男の人の声が・・・」 『(エトワール)』 「私にはエトワールと繰り返す女性の声しか聞こえません」 『(次代の地の賢者、私の下へ)』 声がするままに進む2人 だけれども、不気味だった 壁に均等に立つ兵士たちが全員目を瞑って立って寝ているのだ。 最初は作り物だと思ったが、呼吸音がする 八雲は早くこの場を去りたかった 志穂も不気味に思ったが、なぜか根拠のない自信があり、大丈夫だと思った 歩き続けると 回廊が十字に分かれた 志穂は正面に。八雲は右に呼びかけられている 「どうしよう!」 「ヤクモさん、何故か分かりませんが、ここは安全な場所だと思うのです。二手に分かれましょう。ここで、待ち合わせしましょう。お互い、声の人を見つけなくては」 「だめだよ、そんなの!俺も一緒にいく!」 正面に歩き始めた八雲はまたもや不可視の壁にぶつかった 続いて、右方向では志穂が不可視の壁にぶつかった。 「方法がないようですね。来た道も塞がれています」 仕方なく、二手に分かれて、声のする方に向かった。
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