第1章 ~地の賢者~

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私は今、不思議な感覚に悩まされています 頭の中から声がする現象です 先ほどより『エトワール』と繰り返す女性の声 卑弥呼様は頭上より声がします こんな事は初めてです 赤い絨毯はアナザースカイの城よりも上等なものでしょう それにしても、このお城は奇妙なのです 兵士が全員、立ったまま寝ています 今も私は声のする方へ進んでいますが、途中の回廊では歩いていた時間を止められたような姿勢で眠っている紳士の方がいらっしゃいました。 皆さん、口から白い吐息を吐いています これもおかしな話です。私はいま、寒くないのです。 お城だけが、関係するものが寒いようです 左手に広大な庭が見えます 『(エトワール)』 また聞こえました これは、名前なのでしょうか でなければ、繰り返し呼ぶ理由がありません 城には私の靴の音だけが響きます それにしても、いくつ部屋があるのでしょうか もう、何部屋も過ぎました 声がする方に、右に、左に進んでまいりましたが、かなり大きめのお城のようです 『(ここよ・・・エトワール)』 歩いていると右の天井まで届くドアが自動的に開きました そして、そこには、天蓋のベッドで眠る誰かと、紫の髪をした女性が椅子に座っています 椅子に座る女性に声をかけてみます 「あの、すみません、ここはどちらですか?」 椅子に座っている女性もまた、眠りについていました 『(私よ、エトワール)』 声をする方向を見ると、金髪で高そうな装飾品。察するに高位に立つ女性でしょう 「私の頭の中で話しているのは貴女ですか」 『(エトワール、良く来てくれました)』 「私はシホと申します。エトワールとは一体・・・」 『(あら、聖地の伝承はもう、貴女の星では廃れてしまったのね』 「聖地?」 『(聖地はここよ。でも、詳しく説明するには時間がないの。聖地の危機なの。『エッセンス』という成分を作り出す賢者達が全員、眠りに着き、その影響で聖地全体が眠ってしまった。これを元に戻すにはエッセンスが必要なの。私たちの時代は終わったみたい。そこに誕生したのが、しほちゃん、貴女。エトワールなの。お願いよ。未来を切り開くために貴女の力が必要なの。賢者を見つけ出して。この広大な宇宙からは難しいだろうけど・・・賢者を見つけ出す事。それがエトワールの使命』
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