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「ーーー手帳はまだ約9年分残ってます」 先にタバコを吸い終わった下島がポツリと呟いた。 「…あんた、小森に余計なこと吹き込まれてない?」 「いや、いつか北原さんの手帳に俺とのプライベートスケジュールを書いてもらえるといいね、って。 大丈夫、10年手帳だから焦らずやんなさい、ってそれだけです」 「あいつ何言ってくれてんの…」 「あ、それと俺は自分の気持ちを全然抑えきれない恋愛わかばマークだけど、北原さんも恋愛から思い切り遠ざかったもみじマークだから2人の面倒は私が見るって言ってました」 「小森ー!!ぶっ飛ばす! …って、あいつ今日はいないんだわ」 「え? そうなんですか?」 「結婚式の準備が遅れまくってるから有給。 青井くんも学校の課題が忙しいからしばらく来れないって言ってたし…。 わー!! 私たちこんなとこで油売ってる場合じゃないじゃん。 プレゼン終わってもやることありまくりなんだからね!」 慌てて駆け出した私の横に下島が並ぶ。 「じゃあ、今日はチームに俺たち2人だけ?」 「ばっ、ばか!! 赤川さんも緑山くんもいるでしょうが!」 「はーい。じゃあ急いで戻りましょうか」 下島が私を追い抜いて走っていく。 私も負けじとそれを追う。 私たちは子どもみたいに小競り合いしながらテラスを後にした。 ………end………
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