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「ーーーここと、ここのこの部分と、あとこっちのここと、ここもこっちと左右対称で………」 私のパソコンで共有フォルダを開いて松山さんが次々と指示を出していく。 『何箇所かだけ』 そう言ったはずの修正点は相当数に及び、それはもはや……… 「大、どん、でん、返し……」 小森の呟きが重く重くのしかかる、本当にほぼ丸々やり直しに近い状態。 松山さんの指示を必死にメモしていた私の手も震えていた。 これだけの修正をこなすにはさすがに時間が厳しすぎる。スタッフを帰してしまった今では人手も足りない。 「……よし、これを完成形として明日のプレゼンに持って行こう」 アシスタントたちの動揺に気付く様子もなく満足気に頷きながら松山さんはこちらを振り向いた。 松山さんにしてみれば、ギリギリまで粘って最高のものを作り上げた達成感があるのだろう。 実際には、それを発表できる形にまで私たちが仕上げなくてはいけないのに。 内心葛藤はあるけれど、それでも私たちに与えられた答えは1つしかない。 「分かりました」 「………ふざけんな!」 言うべき言葉は1つだけのはずなのに、私と同時に発せられた別の言葉に驚いて振り向いた。 パソコンにかじりついていた私と小森、松山さんから一歩離れたところに立っていた下島が両手を握り締めながら声を震わせてもう一度叫ぶ。 「ふざけんな!!!」
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