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憧れだったデザイン事務所に就職できた。 内定をもらえた時は、本当に天にも昇るような気持ちで。 始めの3年くらいは死に物狂いで何でもやろう。 必死に働いて、たくさん勉強させてもらおう。 そうしたら、5年目くらいからは任せてもらえる仕事も増えてきて、自分でもデザインを描かせてもらえるようになるのかな? あんな物件をデザインしてみたい。 こんな仕事に携わりたい。 あれもしたい。これもしたい。 たくさんたくさん仕事がしたい! ………あの頃の私は、自分の未来は前途洋々だと信じて疑わず、キラキラした夢ばかりを思い描いてものすごくワクワクしてた。 だけど。 入社7年目。 現実はそう甘くないって知った。 私の肩書きはアシスタントデザイナー。 アシスタントデザイナーって『デザイナー』という文字だけは貰ってるけど、実際にやることは裏方仕事ばかりだ。 同期入社の仲間たちは、少しずつ物件を任せてもらえるようになったりデザインも描かせてもらえるようになっているけど、私にはまだそんなお声もかからない。 それでも生来の負けず嫌いで仕事に打ち込んでいるうちに、私は色んなものを失くしてしまった。 気持ちのゆとりや… 大切な友人や… 恋愛なんてもっての他で… なけなしの可愛げもすっかり失くしてしまった。 失くしたものは結構大事なものなのに 「もう、いっか」 で片付けそうになっている自分が本気で怖い。 入社した時のキラキラやワクワクが7年経ったらモヤモヤとイライラだらけになっていた。 そして。 これから先…私、どうなるんだろ? そんな不安を抱えたまま、また新しい年が、明けるーーーーー。
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