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「うわっ、新年早々仕事モード全開ですねぇ」 そして、全く悪びれていない下島は、私が広げていた手帳を勝手に覗き込んでそのスケジュールに目を丸くした。 「今回のプロジェクトはうちでは珍しいデザイナーズマンションだからね。 いつもの行程と変わるとこもあるし、色々しっかり確認しながら進めなきゃなんないからやること山積みなんだよ。 そーゆーことだからあんたも明日からは早めに出勤してきてよね」 「うえー」 「文句あるなら他のチームにどうぞ」 「そんなぁ」 「まあまあ。プロジェクトスタートして軌道に乗るまでは仕方ないって。はじめのうちは我慢しようよ」 やり合っている私と下島の会話に小森がやんわりと入ってきた。 「小森さん! あけおめことよろっす」 下島はパッと表情を明るくして、小森に向かってチャラい敬礼ポーズをきめる。 「ことよろー。久々同じチームで嬉しいよー」 小森も満面の笑みで同じポーズを返した。 小森は下島が入社してきた時の指導社員でよく面倒をみていたから、この2人は元々仲がいいのだ。 「今回のチーム編成、私的に最高なんだよねー。 仕事は大変そうだけど楽しみ」 「俺もです。成長した姿お二人に見てもらえる日がやっと来ました」 「ははは。言うねー。 ですってよ、北原さん」 小森は楽しげに下島を指差しながら笑って、私の方を向いた。 私は手帳に戻していた視線をゆっくり上げて下島を見る。 そう、下島は入社してから小森についている間このチームにいた。 その後、他のチームに異動になって、またここに戻ってきて……。 「下島、ご一緒するの何年ぶりになる?」 「えー…っと、2年ちょい、ですかね?」 「ふーん。 じゃ、少なくとも3年分以上の成長、期待してっから。 さ、二人とも早速打ち合わせ始めたいんだけどいい?」 ーーーこの時、私は新しく始まる仕事のことだけで頭がいっぱいで、出戻りの後輩のことなんか全然気にも留めていなかった。
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