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新しく始まるプロジェクトは、豊洲に新築されるデザイナーズマンションの受注をかけたコンペへの参加だった。
本来うちの事務所はホテルや飲食店などの商業施設を主に取り扱っており、マンションなどの住居関連の仕事が入ることは極めて珍しい。
今回は、マンションのコンセプトが【北欧カフェ風の贅沢空間】ということで、そのような店舗デザインを得意とするうちのデザイナーにやってみないかと指名が入ってきた。
もし受注することになれば、マンションの内装だけではなく契約者の希望によっては家具などのデザインも請け負うことになるらしい。
戸数は少ないが一軒一軒のインテリアにまで関わることになればかなり大きなプロジェクトになるし、会社にとっても新しい事業に乗り出すことになる。
指名を受けたデザイナーはもちろん会社としても力の入る案件だった。
とはいっても、コンペにはマンション建設が専門の建築事務所とうちと同じように声がかかった同業のデザイン事務所も参加してくる。
コンペを勝ち抜ける確率は、正直言って五分五分……といったところか。
「まず、同業には確実に圧勝しないとですよねえ。
そこからやっと本業さんに挑戦できるっつーことですよ、ね?」
「そりゃそうでしょ。やっぱ本職の建設事務所が本命だと思うよ?
うちともう1つは、まあ…ちょっとそっちの方も見ておこうか、的な、ね?」
「ですよねえ……厳しいなぁ」
プロジェクトスタートの打ち合わせを終えた下島と小森は、早速後ろ向き発言を連発しながら渡された資料を捲っている。
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