5人が本棚に入れています
本棚に追加
よう、元気にしてるか。
俺が誰かって? 一年後のお前だよ。
単刀直入に言うから目をそらすんじゃないぞ。
二条学園との決勝戦だがな。
俺たち、負けちまうんだ。
お前が最終回、あとアウト一つの所まで追い込んでおきながら相手四番打者にサヨナラホームラン打たれてな。
お前は泣く。泣き続ける。先輩たちの夏を終わらせてしまった責任を一身に背負って。
ほんと、馬鹿だよ。
夢と過去と現実の区別もつかなくなるくらい、お前は泣き続けるんだ。
いいか、未来の俺から言えることは一つだけだ。
現実から目を背けるな。逃げるな。
そして、仲間を信頼しろ。
……。
それは、俺を名乗る人物、それも一年後の未来からのメールだった。
俺たちが負ける? サヨナラホームラン?
上手く言葉が飲み込めない。
「誰からのメールだった?」
武田が話しかけてくる。なんでお前がそれを聞く必要があるんだ。
だって、これは……。
差出人の名前欄には、しっかりと武田翔真の文字が躍っていた。
「いいか、よく聞けよ。エース」
武田は両の瞳で俺を見つめた。「俺たちは負けたんだ」
武田は訥々と語り始めた。
最初のコメントを投稿しよう!