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ここは宇宙の彼方にある流星マボ星。
この星はいくつかの街に分かれていて、どこの街でもよく流れ星が降ってきます。
この流星マボ星の住人たちは一生に一度、流れ星に本当に叶えてもらいたい願い事をひとつだけ叶えてもらうことができます。
だから、そのためにみんながんばって仕事をしているのです。
あるとき、この星の片隅で働いている一匹のくまがいました。
このくまの仕事は降ってきた流れ星を宇宙にもどしてあげることです。
しかし、くまは流れ星を上手く投げることができず、落ちてきてしまった流れ星は傷つき輝きを失ってしまいます。
そんなくまの姿を毎日見ている住人たちは、
「おまえ、下手くそ過ぎるだろ。」や
「おまえはわざと流れ星を傷つけているんじゃないのか?」
などと、くまにひどい言葉を浴びせてきます。
くまはいつだって
〔ぼくだって本当は上手くなりたいよ〕
と思っていました。
ある日、ひとつのきらきらと輝いた流れ星がくまの頭に落ちてきました。
「いたいっ。」
くまはうなるように叫びました。
「ぼくは流れ星にまで嫌われてるんだ。」
くまが歩いていこうとすると、
『そんなことないよ』
どこからか聞き覚えのない声がします。
「え?」
周りを見渡しても、ここにはくま一匹しかいません。
『そんなことないよ』
また聞き覚えのない声がしゃべりかけてきます。
くまがキョロキョロと辺りを見回していると、さっき頭にぶつかった星が地面からくまのほうに飛んできました。
「うわあ! 星が飛んでる!」
くまは怖くて地面にしゃがみ込みます。
『怖がらないで。僕はきみの味方だよ』
と、空を舞いながらくまに話しかける。
「ほんとに? ぼくが星を上手く投げられないからって言って恨んでるとかじゃないの?」
『そんなこと、どうしてきみに思わなくちゃいけないんだい? 僕はきみに投げられたことなんて一度もないんだけどな』
くまはハっと思いました。
この星は、住人たちと違うことを考えていると……。
「きみのこと、なんて呼んだらいい?」
『え? ほしでいいよ』
ほしは、くまがいきなり質問してきたのでびっくりしてしまいました。
「わかった。ほしだね」
と、くまはにっこり笑いました。
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