プロローグ

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あなたとあたしは、最後まで友達だった。 だけど出会ってすぐの頃、まさか自分があなたに心を許すなんて、少しも想像していなかったの。 そのうちあたしをからかうのも飽きるだろうし、会うこともなくなる。 だからいつも通り適当にあしらっておけばいい、そう思ってた。 きっとあなただって、こんなに2人の距離が縮まるとは、考えてもなかったんじゃない? だから後悔なんて、少しもない。 あなたとあたしの予想を裏切り、あなたと友達になれたということだけで、あたしには充分。 これで良かったと、あの別れ方で良かったと、心から思えるよ。 あなたがあたしを変えてくれた。 自ら誰かに歩み寄り、誰かを好きになることを教えてくれた。 あなたとの出会いは、あたしの人生を一変させるくらい、とても大切なものでした。 だから本当にあなたには、感謝しかありません。 それはこの先も、ずっと変わらないでしょう。 あなたを遠ざけようとするあたしに、思惑があったとは言え、あなたが愛想を尽かさなかったこと。 あたしを好きだと言ってくれたこと。 そしてあなたとあたしが、ああいう形の別れ方をしたこと。 どれも思い込みや偶然ではなく、運命だった。 そう思えるのも、あなたのおかげ。 “運命”というものを、あなたが信じさせてくれたから。
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