第二十六話「好きです、付き合ってください」

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 ああ、もしかしなくても?  みんなで同じ方向を見つめていると、案の定だ。ものすごい慌てた様子の和泉くんが、息を切らせてこちらにやってくる。私を目で確認して安心したからか、ゆっくりと歩いて来ていた。  いっしょに帰りたいのかなあ。……目立ちそうでちょっと嫌かも。この時間そこそこ人いるんだよなあ。今さらだけど図書室に寄って行きたいって言おうかなあ……。  ぐるぐると考えていると、靴を履き替え終えた和泉くんが、無言で私の手を掴む。 「え? 和泉くん?」  何事だと思って訊ねても、彼は無言でずんずんと外を歩くばかりで、何がしたいのかさっぱりわからない。  うわあ、すごい見てる、見られてる。下校している人数はHRが終わった直後とは比べ物にならないくらい少なくはあるけれど、いつもみたいにほぼ人がいないみたいな状況じゃない。  あああ、目立っている。この上なく目立っている。  どういうつもりかわからなくて和泉くんに何度か声をかけても、彼はやっぱり無言で歩くだけだ。どうしたのだろうか。  そして。  正門にさしかかったところで、和泉くんが私の手を放し、くるりとこちらを振り返った。 「――笹森和さん」
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