第一話「ああ素晴らしきこの日常」

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 正直に言おう。私は調子に乗っていた。いや、外に横柄な態度を取るだとか、そんな真似をしちゃいないが、内心の問題だ。  慢心した。油断していた。分かっていたはずだ。今の立ち位置が、集団生活において恐ろしく難しいという事を。  それはとんでもなくもろく、薄氷の上に立っているようなものだと誰よりも知っていたはずだ。他人と、集団と揉めた過去がある、私だからこそ。だのに何故。高校生活も二年目に突入した今。永遠に続くと思い込んだのだろう――いや。  二年目に入ったからこそ、私は安心してしまったのだろう。だからこそ、忘れていたのだろう。  その氷を粉々に打ち砕く存在は、いつだって、音もなく現れるものなのだという事を。
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