【RE:SOS】

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『よう、過去の俺。突然だが俺は未来のお前だ。  俺は今、過去の罪を償う為にとんでもないところにいる。  毎日毎日、悍ましい姿の異形の者達により耐え難い拷問を受け続けているんだ。  刺の付いた鞭や金棒で何度もしばかれ、全身を鋸で切り刻まれ、鉛を溶かしマグマのように煮えたぎった釜にも入れさせられた。当然、最後には命尽き死んでいる。  だがその後は何事も無かったように体は再生され、再び苦痛や恐怖を受け続ける嵌めになる。  時には灼熱の業火に身を焼かれ、反対に極寒の地で冷凍食品にされ、ローラーですり潰されたり、猛毒に冒されもがき苦しんだり、虫や獣に喰われたりと、とにかくバラエティーに富んだ方法で俺は処刑され続けた。  何千、何万と殺されれば流石に慣れるだろと思うだろうが、未だに痛いものは悲鳴を上げるくらい痛いし、怖いものはトラウマになるくらい怖い。涙だって出る。  ようやく拷問から解放されると、今度は牢獄の中で延々と命を奪った人間の名前や年齢、生い立ちや思い出、性格に至るまで一人一人読み上げ謝罪しなきゃならねえ。それも少しでも心がこもってないと判断されたら即拷問行きだ。  拷問、謝罪の延々ループ。終わりの見えない罪滅ぼしに気がおかしくなりそうだ。  俺の心はもうとっくに改心している。だが、ここじゃ罪の分だけずうっと服役してなきゃならないのが決まりだ。  ここでの生活も百年……二百年……いや、この分じゃそれ以上の歳月をここで過ごさなきゃならないみたいだ。何たって俺は、数え切れないほど多くの人間を無差別に殺傷した大量殺人鬼だからな。  そんな俺を見るに見兼ね、お偉いさんが罪を犯す前の過去の俺、つまりお前を説得すればここから救い出してやると言ってくれた。過去の俺、つまりお前さえ心を改めてくれたら俺は地獄から抜け出せるんだ。  頼む俺。罪なんか犯すな。もう痛いのも苦しいのも沢山だ! どうか俺を天国へ逝かせてくれ!!  俺を救え! 俺!!!』
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