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〇東都スポーツ コラム『ファウルチップ』
あんなものはファインプレーでも何でもない。「守備の福山」にとっては朝飯前のことなのだ。球場の後ろから全てを見渡しているバックスクリーンなら知っている。グラウンドの隅々のプレーまでしっかりと見ている。そしてそういうファンも少なくはない。
BY キッコ
〇結子のマンション
新聞を見ている朱子。
朱子「矢部、矢部、矢部……大ファインプレーの福山はこんなちっこい記事だけか」
結子「いんじゃない」
朱子「あら、冷たいわね。あんた昔からファンだったじゃない。ほら、いつも写真、大事に持ってたでしょ。どうした?」
結子「……どっかに失くしたみたい」
朱子「ええ? あんなに好きだったくせに」
結子「まあね。どうも宙を舞う姿に弱いらしいわ、あたし」
朱子「肩も強いし、足も速くて、ジャンプが華麗な選手だもんね。打撃さえ良ければあんないい選手いないのに」
結子「守りは最大の攻撃なり……なんてね」
朱子「語呂悪ーい。それでも記者?」
結子「フンだ」
朱子「さてと、じゃ行こか? 激辛、食べたい気分でしょ」
結子「よくわかってるね」
意気込んで出ていく二人。
(終)
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