栄華の衰退

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「ラキ、サアラ・・・お前達の子は・・・強くなったよ。私の誇りだ。エリザ、いつまでも愛してる。トーラ、フィニ・・・もっと一緒に居てお前達の成長を見たいなぁ。」 ナルガは見えなくなったフィニの背中をなおも見ていた。 そしてどこか感慨深そうに緩ませた顔を一気に緊張させる。 「いつまでも待たせるな。早く行きたいんだ。」 -グォオオオオオオオオオオオ!! 突如轟く、雄叫び。 ナルガの言葉に応えるように1体のモンスターが姿を見せた。 「これはまた大きい。さて、足場は・・・無事か。どけ・・・といって通じるわけも無いか。推して参る。」 ナルガは足場は軽く地面を踏み、足場がしばらくは大丈夫な事を確認すると、剣を構え相手が動くのを待った。 エンペラードラゴン。別名獄焔竜。 ワイバーンと同じように鳥類と爬虫類を掛け合わせて作られたその変異種。 世に放たれて以降は人の前にめったに姿を現さず、その姿を見るのは100年に1人とも。 「お前も何か感じるか?」 エンペラードラゴンの飛来にナルガは臆する事無くむしろ、口元を緩めていた。 「グォオオオオオオオオオオオ!!」 エンペラードラゴンはナルガに向かって、もう一度雄叫びを上げた。 ナルガはその雄叫びに剣を斜め下向きに構え、斬撃を繰り出す。 「行くぞ!!獅子連塵!!」 -ズザザザッ!! エンペラードラゴンに向かって奔る無数の太刀。 同時にエンペラードラゴンも、炎を吐き無数の太刀をかき消した。 「グルルル。」 「だよな。一筋縄でいくと思っておらんさ!大獅子絶爪!」 ナルガの剣の振りに合わせて巨大な爪が、エンペラードラゴンに命中した。 -ボゥッ。 斬撃の命中とともに、土ぼこりの先から不吉な着火音が聞こえる。 「くっ。・・・効いてないか。フィニ。早く降りろよ!!」 「グゥゥ・・・」 土ぼこりが晴れると口で着火を済ませたエンペラードラゴンが、今まさにその火を吐き出そうとしているとこだった。 ゴオォ! 「っく!・・・かわすさきの足場を気にするのに精一杯だが、さすがにこれ以上は・・・一か八か。ウオォォォォォォ!!!」 ナルガは首の皮一枚で、エンペラードラゴンの火を交わし続けたが、いずれ起こる足元の崩落に危険を感じながらも、突進を決めた。
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