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「あなたのお嫁さん?」
「ちゃうわ!」
アニの言葉に、ラフィは目を輝かせて言った。
「アニ、だれかいい人見つかったー?」
ラフィの唐突な言葉に、飲みかけていた紅茶を噴き出す。
「ゲホッ!どこでそうなったのよ!!」
「べっつにー。深い意味はないけど。あなたも年頃じゃない?うかうかしてるとあたしみたいになるわよ?なりたい?なりましょ!!」
ラフィは戸惑うアニをよそに、その手をぐいぐい引っ張り上げる。
「ばか!間違っても同じ道は歩かないからね!」
「・・・そう・・・」
アニの拒絶にラフィは再びしゅん。とうなだれる。
「・・・別にいい人ってわけじゃないけど・・・心配。」
アニの言葉にラフィの目にたちまち光が宿る。
「そうそれ!そういうの聞きたかったのよ!!誰!?」
(何なのこの人・・・)と感情の切り替えが激しいラフィに心の中で突っ込みながらもアニはその質問に答える。
「フィニ君。」
アニは恥じらいを隠すようにそっぽを向いてその名を告げた。
「噂の騎士団長様ね!!初めて会った時はあどけない子供だったのに・・・時は人を変えるわねー。スピード出世もいいとこだわ。」
ラフィはそう言って懐かしそうに天井を見上げた。
「ラフィはどう思う?例の話。」
アニのよそよそしい仕草に、ラフィは真剣になった。
「あたしはナルガ様も、あの子の事も信じてる。現にこのルスカリアだって今までフォンロッド家が統治してたから、こんな豊かなんでしょ?他の王家が統治してた時代を知ってるわけじゃないけど・・・でも、その王家に忠誠を誓った騎士達が、そんなことするなんて考えられないわ。」
ラフィの筋の通った考えに、アニもうなずいた。
「そうだよね!あの日にフィニ君にあったんだけどね、ネロ様の剣の相手するって嬉しそうにしてたんだよ?そんな人が手にかけるなんて信じられないよ。」
「アニ!大丈夫。フィニ君もナルガ様も斬首されたわけじゃないし。また会えるわ!その時まで待ちましょ?信じる者は救われるって、いつかの人が言ってたわ!」
ラフィの言葉にアニも自然と笑顔を取り戻した。
「そうだよね!ありがとうラフィ!・・・さて。どうしようか?」
「ん?なにが?」
ラフィは首をかしげる。
「あなたの仕事。」
「・・・」
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