栄華の衰退

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ナルガ様の言葉に、僕は顔をあげた。 「ワイバーンですか・・・もういや!何でおとなしく越えさせてくれないのでしょう!!」 「諦めろフィニ。それが山だ。」 ナルガ様の冷静な返事に僕は渋々剣を抜く。 ワイバーン。鳥と爬虫類の動物を掛け合わせたモンスター。 この世界では動物とモンスター、明確な定義をもって区別される。 動物は遥か昔より存在し、その種族同士の繁栄によって今日に存在している。 モンスターは研究者の手によって、異種族間の遺伝子を持って生まれた合成種である。 しかし、モンスター=人を襲う訳ではない。 動物でも人を襲うのはいるし、モンスターでも人になつく。 育った環境によって、生まれ持った動物達の性格によってモンスターの性格も種別によって大きく異なる。 それに比較的人が住む地域に現れるモンスターは大人しい。 だからむやみやたらと人もモンスターを退治するわけではない。 時にこのワイバーンのように、人に対して命を奪う危険があれば別だが・・・ そんなこんなで、新種のモンスターが生まれても人、動物そして自然界での共存自体は難しくなく、ルスカリアでも多くのモンスターがその時を生きていた。 目の前のワイバーンは、今僕らを食料ぐらいとしか考えていない。 シュルルル。と唸るその口からは、よだれが垂れている。 『生きるために食う。』 明確な意思が、その目から伝わる。 「すまないなワイバーン。食い物があればやりたいが、生憎何も無い。こんな私達を許せ。」 ナルガ様がその意思を察したようにワイバーンに謝った。 そう・・・僕らにはやらなければならないことがある。 とても一方的でモンスターから見れば、これから起こることは理不尽だろう。 でも、目的の為に。ここで彼らの食料になるわけにはいかない。 僕もまた、ナルガ様の言葉に剣に力を込め、ワイバーンを見据えた。
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