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「-グルルル。グァー!」
突如、ワイバーンは雄たけびと共に鋭く伸びた爪を振り下ろす。
「フィニ!受けろ!」
「はい!!」
ナルガ様の指示に合わせて、剣をその爪にかみ合わせる。
-ガギィンッ!!
耳をつんざく音があたりに響く。
「っく!力が・・・強いっ。」
「グ・・・ガァー!」
僕よりも一回り細いその腕は、剣ごと押し切ろうと力を込めていた。
僕はその力を両腕で押し返す。
「すぐに終わらせる!双爪!!」
-キイィィン!
ナルガ様が剣技を放った瞬間、甲高い音が響く。
「ガアァァァァ!!」
同時にワイバーンは尻尾を振り、ナルガ様に当てた。
「ナルガ様!」
「くっ!大丈夫だ!フィニ立て直す!離れろ!!」
「はい!」
ナルガ様の指示に合わせて、剣を構えたまま後ろに下がった。
ナルガ様と僕はワイバーンを前後に挟む形にある。
「鱗が硬いな。踏み込みが浅かったか、斬撃系が通じないのか・・・フィニ試したい事がある。一度こっちに。」
「わかりました!!」
ワイバーンは僕を見ている。
鋭い目に気圧されることなく、僕は剣を振り上げながら突っ込んだ。
「ガァ!」
キィン!と再び剣と爪が交錯。同時に僕はその身を捩り横をすり抜ける。
「よし。今のはうまかったな。」
「ありがとうございます。」
ナルガ様の言葉に僕は、少しばかり唇が緩んだ。
「ワイバーンの鱗はそこらの爬虫類以上に硬い。斬ってみてわかったが、どうやら異常に発達しているようだ。次は私がやつの気を引く。お前は隙を見て刺突系の剣技をやつに当てろ。加減は考えるな。」
ナルガ様はワイバーンを見据えながら、僕にそう指示した。
「わかりました。」
僕もまた、ワイバーンから目を逸らすことなく返事をする。
「頼んだぞ。」
ナルガ様はそう言って、僕が先ほどしたように剣を構えて突進した。
「グアァ!」
ワイバーンは再び爪を振り上げ、剣と交錯する。
横に回ったナルガ様に目をやり、2度3度と両の爪を振りかぶった。
その隙に僕は高く跳ねる。
剣を振りかぶる形で下向きに構え、剣の柄に力を込めた。
「狼爪・・深々!!」
「ギャ!」
落下とともに剣をワイバーンに突き立て、一瞬の鈍い感触の後剣はそのままワイバーンを引き裂いた。
「終わったか。」
「えぇ。」
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