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「ううっ……こわーい!鬼さんこわいよぉーっ」
父親に読み聞かせてもらっていた絵本に出てくる赤鬼を見た幼い日の日隠陽聖は、頭から突き出した角や口からはみ出た鋭い牙、さらには恐ろしく睨み据える鬼の形相に大泣きした。それこそ赤鬼のような真っ赤な顔で。
「そうだな。鬼さんは怖い顔してるよな。でもな陽聖。むかーしむかし、日隠家は鬼さんととっても仲良しだったんだぞ」
「ひっく……えーっ、なんで?」
「鬼さんはこの通り身体が大きくてとっても強かったんだ。だから一緒に戦ったりしていたんだよ」
朝目覚めるとそんな夢を見ていたなとふと思い出す。夢というか昔の記憶だろう。そういえばそんな話を聞いたことがあるようなないような……。
まだ寝起きのぼんやりした頭で考えながら天井を眺めていると、隣で寝ていたジーンも目が覚めたらしく声をかけてきた。
「どうした?何か思案げだな」
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