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 普通に言ったつもりが囁いたせいか意図せず色気を含んだ声音になってしまい、言った陽聖自身もドキリとした。だがそれ以上にドキリとしたのはやはりジーンだろう。こんな大真面目に眼前で愛を囁かれ、しかもそれが稀有なことときたら目を丸くせずにいられないのもわかる。 「ああ、いやぁ、あはは……なんか、おわっ!」  このままだと恥ずかしくて死ねる。笑って誤魔化すしかないと熱くなる顔になんとか笑みを浮かべてみたのだが、その途端ジーンに担がれるように抱き上げられてしまった。 「陽聖がこんな真剣に大好きだと言ってくれるなんて今日はお祝いだ」 「おい!ふざけんなって、降ろせっ。大げさなんだよ!」  陽聖を担いだままその場でダンスでも踊るようにくるくると回り始めたジーンの背中を叩くが、意にも介さない様子でひとり舞い上がる恋人にただ苦笑いするしかない陽聖だった。
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