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江ノ本『幽霊じゃない?』
咲来『ええ、あれは幽霊ではなく江ノ本先輩の江ノ本アキへの感情が具現化した偶像だと考えます』
江ノ本『……いやいや、そんな急にオカルト入れなくても』
咲来『オカルトには既に入ってますよ。今回限りだとは思いますが』
江ノ本『で、なんでそう思ったんだ?』
咲来『まず僕は先輩の話す自身と周囲の江ノ本アキのイメージ、そして僕の感じた江ノ本アキのイメージに疑問を持ったんですよ』
咲来『江ノ本先輩のイメージは弟思いで周囲のイメージは殺人鬼。これは良いんですけど何故か僕も江ノ本先輩と似たように弟を溺愛……もとい弟思いのイメージを持ったんですよ』
江ノ本『そりゃあ誰もが殺人鬼とは感じないだろうよ』
咲来『まあそうなんですけど、でもおかしいんですよ。弟思いくらいなら周囲の人も感じるかもしれない、でも実際に弟のように扱われるのは先輩だけですよね。なのに僕もそう扱われた』
江ノ本『あっ』
咲来『ならあれは意思を持ったひとつの物体ではなく、誰かのイメージが具現化したもの。そして誰がイメージしたか、それが江ノ本先輩です』
江ノ本『なら、何故俺には見えない?』
咲来『そりゃそうですよ。鏡でも無ければ自分を自分は見えない。だから先輩はあの江ノ本アキが見えなかった』
咲来『自分でも荒唐無稽な事を言っているとは思います。でも、僕にはそうとしか思えないんです。先輩、何か心当たりありませんか?』
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