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放課後の夕日に照らされた、学び舎の一角にいる一組の男女は怪しくも美しい
「僕は貴女が嫌いだ」
「そう……」
「いつまでそこにいるんですか」
「さあ……」
「僕の前から消えてください」
「それは……」
「できないなんて言わないでください」
「ごめんね……」
「僕と貴女の関係は狂っていたんです。それ以上でも以下でもない」
「そうね……」
「いい加減消えてください。僕が狂って貴女の手を取る前に」
「わかった…… バイバイ……」
消えて逝く彼女に駆け寄ろうとする本能を、無理やり押し殺しながら彼は最後の最後まで、表情を変えることさえも拒んだ、
彼女が全く見えなくなると、頬に涙が一筋流れ落ちる。結局その時の感情が表に出たのは、それが唯一だった
微睡から解放され、青年だった男は溜息をついた。
「姉さん……」
久しぶりに見た夢は、悲しい最愛の人との別れの記憶だった。
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