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_204号室_岡林 鈴
岡林さんはチャイムを鳴らしても出てこなかった。
すると、直は急に俺の手を握って走り出したのだ。
「!?な、直?どうした?!」
「…。」
しかし、直は何も話さない。たまにある直の“珍行動”には、正直、幼なじみの俺でさえ、慣れないものだ。
「…着いた。」
直が止まった所は、直の部屋。“何でここ?”と思いつつ。部屋に入る彼女に続く。そうすると、彼女はクローゼットにある服を沢山出してきた。
「直?どうした?岡林さんの所は??どうするんだ?」
「岡林さんは、人が苦手だから、必要最低元の外出しかしない、だけど、宅配便の人の格好したら出て来るかも。」
なるほど…そういう事か。俺はてっきり直の事だし、“腹へった”とか言うのかと思ったので、少し安心した。
「でも、宅配便の人のコスプレなんてここに無くね?」
「あるの。」
「どこに?」
「忘れた。」
は?!忘れた?
「直、お前、馬鹿かよ!!何で忘れたんだ!早く探せ!!」
「えー、めんどくさいし、嫌だよー。」
「探せ!馬鹿直っ!」
「嫌だ!アホ悟っ!」
「探せ!馬鹿探偵っ!」
「嫌だ!使えない助手っ!」
「探せ!ポンコツっ!」
「嫌だ!トンコツっ!」
「俺はトンコツじゃねーっ!!」
「私だって、ポンコツじゃなぁーいっ!!」
…ピンポーン…_
「直、誰か来たけど?」
「あ、本当だ。出てくる。はぁーい?どちら様ですかー?」
『タイガー急便ですー!神田 直様宛にお荷物ですー!』
…タイガー急便か。って何頼んだんだ?直の奴。
「よいしょっ!」
と言って直は、まあまあ大きめの段ボールを持ってきた。
「何それ?」
「分かんない。開けてみる!」
「あ、あったぁー!?」
と直は言うので、俺も段ボールの中身を見た。しかし、段ボールの中身はまさかの物だった。それは……宅配便の人の仕事服だった。
「は?!注文してたの忘れてたってこと?!」
と俺は叫んだ。
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