1人が本棚に入れています
本棚に追加
今度は電子音ではなく、僅かな痛みを感じて僕は目を開けた。
視界は靄がかかった様に、朧げだった。
ぼやけている視界に人らしい影が映る。
どうやらその影は此方を覗き込むようにして、僕の周りにいるようだ。
「純!」
まだ、覚醒しきらない僕の耳に母親の声が飛び込んできた。
なんで母さんの声がするの?
「あなた、先生を!」
「ああ、わかってる。」
父さんもいる?
なんで?
ここは学校のはずじゃ……
ボーッとした頭で記憶を手繰り寄せる。
意識がはっきりとしていくに連れて、感じていた痛みが酷くなっていった。
此処は病院だと理解した頃には、激痛が僕の身体を駆けていた。
やっとクリアになった視界に両親、悠希、一宮さんの顔が映る。
不安、安堵、憔悴。
色んなものが混ざったような複雑な顔をしていた。
最初のコメントを投稿しよう!