第1章

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…あった。 目の前には、 左右揃った僕の脚。 何時もの光景だ。 僕は大きく息を吐く。 どうやら無意識に息を止めていたみたいだ。 存外、緊張していたらしい自分に苦笑が漏れる。 …何やってんだろ。 有るに決まってるじゃないか。 あれは只の夢なんだから。 でも… いい気がしない。 なにせ、胸騒ぎがしたのは本当だったのだから。 思わず零れそうになった溜息を寸前で呑み込む。 朝から陰気臭いのはやめよう。 僕は今日見た夢を頭の中から放るように、勢いよく布団を剥ぎ、ベッドから出る。 ベットを出るとひんやりとした空気が肌を撫でた。 カーテンを開ければ、抜けるような青空。 何時もより早起きをしているはずなのに、あんな夢を見たせいか眠くない。 視界に入ったカレンダー。 明日の日付けから土曜日まで引かれた線と、文化祭という文字。 その文字をぼーっと眺めていると 「ご飯、できたわよー 純(じゅん)、起きなさーい!」 下から母親の声が響いた。 その声に「朝から元気だなぁ」なんて思いながら、僕は階段下に届くようにと声を張り上げた。
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