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…あった。
目の前には、
左右揃った僕の脚。
何時もの光景だ。
僕は大きく息を吐く。
どうやら無意識に息を止めていたみたいだ。
存外、緊張していたらしい自分に苦笑が漏れる。
…何やってんだろ。
有るに決まってるじゃないか。
あれは只の夢なんだから。
でも…
いい気がしない。
なにせ、胸騒ぎがしたのは本当だったのだから。
思わず零れそうになった溜息を寸前で呑み込む。
朝から陰気臭いのはやめよう。
僕は今日見た夢を頭の中から放るように、勢いよく布団を剥ぎ、ベッドから出る。
ベットを出るとひんやりとした空気が肌を撫でた。
カーテンを開ければ、抜けるような青空。
何時もより早起きをしているはずなのに、あんな夢を見たせいか眠くない。
視界に入ったカレンダー。
明日の日付けから土曜日まで引かれた線と、文化祭という文字。
その文字をぼーっと眺めていると
「ご飯、できたわよー
純(じゅん)、起きなさーい!」
下から母親の声が響いた。
その声に「朝から元気だなぁ」なんて思いながら、僕は階段下に届くようにと声を張り上げた。
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