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勢い良く開けたドアが壁にぶつかり大きな音を立てる。やり過ぎたな、と思いながらドアに向けていた視線を教室の中へと持っていった。
目の前には、ドアのぶつかった音にビックリして此方を振り向いているクラスメイトたち。
そんな光景を見て、少しホッとしている自分に苦笑する。
勢い良く開けたドアも意味がなかったようだ。
僕は何時ものように教室に足を踏み入れ
「おはよー」
少し固くなってしまった空気をほぐすように、微笑みながら声を飛ばす。
それを合図に「はよー!」「ビックリさせんなよー」なんて声があちこちから返ってきた。
「はよー、純。今日は元気いいのなー」
机に鞄を掛けていると、聞き慣れすぎた声が耳に届く。
幼馴染の夏目悠希だ。
明るい茶髪に耳にはピアス。制服をこれでもかってほどに着崩している。
顔が整っているから、こんな格好でも様になってしまうから羨ましい。
見た目はチャラチャラしていても、実は根は真面目。
「はよ。ちょっとテンション上がっちゃってさ。」
「なんで?」
「さっき、すげー美人いた。」
「マジでか」
「うそ」
「なんだよー」
そう言いながら項垂れていた悠希はいきなり顔を上げて「あ、そうだ」と思い出したように声を漏らした。
「今日テント立てるから、お前も手伝えよ。」
「えー、やだよ」
「そんなこと言うなよー。どうせ暇だろ。」
「ホントに頼む気あんの?」
「あるある、めっちゃある。」
片眉を上げた僕に、悠希は手を合わせる。
なんとなく押し問答しているうちに先生が来て、悠希はそそくさと机に帰っていった。
こういうところは相変わらず真面目だなー
そんなことを考えながら窓の外を眺める。
そういえば今日は二度寝してないな、なんて考えながら襲ってきた眠気に負けて、意識が途切れた。
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