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音のした方へと顔を向けると、隣に建っていたテントが歪み、正に崩れ落ちようとしている瞬間だった。
歪んだテントの下には、驚いたような顔をした一宮さんが立っている。
その身体はその場から動かない。
考えるよりも先に身体が動いた。
僕は強く地を蹴り、崩れかけたテントに向かって全力で走った。
一宮さんのそんな僕を見て、更に驚いた様に目を見開いた。
「悠希!」
僕は一宮さんの手を引いて引き寄せ、悠希に向かって突き飛ばした。
「純!」
悠希の悲鳴のような叫び声が耳に届いた。
皆んなの驚いた顔。
一宮さんをしっかりと受け止めた悠希の姿。
僕にはそれがまるでスローモーションのように見えていた。
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