35人が本棚に入れています
本棚に追加
/560ページ
黄金色に色ついた銀杏並木
ハラハラと色ついた銀杏の葉が道へと舞い降りてくる。
もう、すぐそこに冬将軍が来ている事を告げている。
今年も残り2カ月を切っていた。
この銀杏並木の真ん中あたりに小さな喫茶店がある。
並木が黄金色に染まるこの時期、たくさんの人たちが黄金色の銀杏並木に集まる。
家族と、友達、恋人と…並木を散策
この小さな喫茶店は、散策途中の憩いのオアシスとなっている。
「マスター、出前行ってきます。」
「オゥ、気をつけてな」
先ほどまで混雑していた店内も一段落した時、一本の出前の電話があった。
5分程歩いた先に車一台通れる道がある。
その道の奥に高い塀で囲まれたお屋敷が、電話のあった出前先だ。
塀の真ん中あたりにある通用門
門わきにあるインターホンのボタンを押すと
『はい、どちら様?』
「いつもご注文ありがとうございます。喫茶カノンです。」
『燐ちゃん、待ってましたよ!今、開けるね。』
カチャと軽い音が聞こえ、通用門のドアが自動的に開いた。
ドアから塀の内側に入ると、手入れの届いた庭が目の前に広がる。
とても都会の真ん中にあるとは思えない程、広い庭
出前のたびに訪れるが、四季折々の花たちにところどころに植えられてる木々…
鬱蒼とした騒音に溢れかえっている街にいる…などと、考えられ無いほど静かだ。
庭の横に通用門から屋敷に繋がる道がある。
その道を重いバスケットを持って勝手口へと向かった。
最初のコメントを投稿しよう!