第0章

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 そんな莉子が経営する書店は、他の書店とは全く違う。  エンジェル書店は、莉子の趣味が詰まった夢の本屋だった。  とは言っても、本だけを売っているわけではない。  ドラマCD、同人誌、関連グッズ。  莉子と同様の人間にとっては、欲しいものが一つの店で買える。そんな場所だった。 「店長はコミックス派じゃないからそんなに泣けるんだよねー。私はコミックス派だから、話しがちゃんと終わってないと読みたくないなー」  あずきはそう言うと、莉子がさっき読んでいた雑誌をペラペラッと捲り、ふーんっと言う。 「早くコミックス買いたくなった?」 「……買いたいけど、私の好きな作家さんのはまだまだ出るの先なんだよね」  あずきは寂しそうにそう言うと、自分の手元にある新品の漫画を読み始めた。
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