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「ったく。手加減てものを知らないんだよな、あの人は」
そう言いながらも、優の口元は微笑んでいた。
inチョコ寮の203号室。
一階のチョコ寮の玄関で永山先生から段ボールを受け取り、部屋で開封し、ざっと中身を見て、思わず出た言葉だった。
段ボールの中にぎっしりつまった高級菓子を、適当に手にとり、まじまじと見てみる。
ピエールエルメのマカロン、ピエール・マルコリーニのチョコ、ゴディバのチョコ、モロゾフのチョコ、デメルのザッハトルテ。その他もろもろ。
「チョコ多過ぎ(笑)。バレンタインじゃねーんだから。とりあえず、礼の電話でもするかな。ってか、向こうは今何時だっけ」
壁掛け時計を見上げると、針は午前七時をさしている。
だがそれはここ、ニッポンでの時刻。
『向こう』の時刻は――
ピッ
「・・・いい加減に、おまえは時差の計算の仕方を覚えろ。そんなことで僕に朝っぱらから電話するな」
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